9月2-3日 清津川の足尾沢を遡行

2年前に挑戦しながらも大増水で転進し、宿題となっていた足尾沢に再チャレンジ。
足の揃ったメンバーでなかなか楽しめました。

<9月2日>
6:30八木沢→8:30足尾沢出合→12:00 40m大滝下/高巻き→14:00巻き終了→16:00幕営

八木沢から気持ちのよい山毛欅の森を歩く。前回来た時は清津川が青白く濁り轟々と音を立てていたが、それに比べれば今回はいくぶんかマシ。鹿飛橋から先は登山道も少々分かりづらいが、2時間ほどで足尾沢橋へ到着。ここで装備を整えていざ入渓。

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最初の千ノ滝は右から簡単に高巻いて落ち口に懸垂下降。そこからすぐの3m滝は水流右を登るのが一般的なようだが、流れが深く離陸が厳しい。

アブミかなーと思ったが、よく観察すると5mほど戻ったあたりから絶妙なバンドを拾えそう。右壁にロープを伸ばしてから左に3mほどトラバースし、凹角を登ると簡単に突破できた。ここで1時間位かかるパーティーもいるようだが時間を節約できた。

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 くの字滝は水流右をへつり、さらに次の5m滝は水流右にロープを伸ばす。岩も固く、ゴルジュ内のクライミングは快適だ。

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5m滝の上で怪しげなモヤがかかってきたと思うと、スノーブリッジが登場。脇を行けないか偵察したが降りるのが困難。高巻きも悪そうなので覚悟を決めて潜る。

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12m滝は左のルンゼにロープを伸ばして巻き、落ち口へ10mほどの懸垂下降。巻きは特に難しくないが、ピンも取れずヌメっていたので少々緊張した。ここからしばらく沢は平凡な河原になる。

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すこしダレてきたころ、遂に40m大滝が登場。足尾沢は幅狭のゴルジュが続いているがここで一気に大空間が広がる。ここは大高巻きになるという事でしばし休憩。水を汲んでから高巻きを開始する。

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左岸のガレを登ってから急な灌木帯を登り、高度を上げてからトラバース開始。大滝を過ぎたあたりで大滝上のゴルジュ帯をのぞきに下降するが、突破は厳しそう。狭いルンゼを一本またいでから小さな尾根を下降するとゴルジュ帯の上に降り立った。
時間は14時。ここで幕営するパーティーも多いようだが、時間も余裕があるので行けるところまで行くこととする。

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ここから先が第4ゴルジュ。滑る岩と小さいながら面倒そうなCS滝が続くので左岸からまとめて巻いて処理。ウォータースライダー状態の第5ゴルジュを突破するとナメと河原の平凡な流れになった。

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時間は16時。頑張れば林道の出合まで行けそうだが無理して頑張ることもない、という事で適当なあたりで幕営

星座が見え美しい夜だった。

 

<9月3日>
5:10幕営点→6:30林道→9:45八木沢
3時頃起床。焚き火で体を温めてから出発。林道までの間は特に何もなく、淡々と遡行。

本当は足尾沢を源頭まで詰めたかったが、少々足の調子が悪いので完全遡行は同行の2人にお任せ。残念だけどハイライトは昨日の終えたし無理する必要もないだろう、という事で。
黙々と林道を下って3時間ほどで八木沢に到着し、ゆっくり片付けてから2人を車でピックアップ。15時には都内で解散できた。

 

<メモ>
・雪渓処理を考えると9月がベストシーズンと思われる。
・大滝上のゴルジュは詳細不明。高巻きの途中からゴルジュ内への下降は50mロープ×2が必要か。
幕営適地は50m大滝下、高巻き終了ポイント、第五ゴルジュ~林道出合まで随時。
・林道出合で遡行を打ち切るのが一般的だが林道歩きはダルい。(約15km、3時間強)足の揃ったパーティーなら上部遡行~外ノ沢下降も面白い

朝日 荒川中俣沢(中退でヒノキモッコ沢へ)

天候不順が続いた今年の夏。僕の住む仙台は36日連続雨・・・
転進を含め直前までルートは悩んだが、長雨で雪渓が少ないかもという期待を抱きつつ朝日の荒川へ向かった。結果的にはヒノキモッコ沢からのエスケープとなったものの、ヒノキモッコ沢はまずまず楽しめる沢だった。


<8月12日>(曇り後雨)
5:30針生平→10:00毛無沢出合→10:15曲滝→12:30綾滝/13:30綾滝先で巻き開始→15:00支尾根→17:00支尾根上でビバーク
前日、白石蔵王でパートナーをピックアップして2時間ほどで小国着。道の駅で仮眠を取ってから早朝に車を走らせる。
針生平から歩き始めたがアブは少なめ。雨が続いているが水はやや多いくらいで、これなら入渓できそう。快適なハイキングからだんだん細くなる吊橋を通り、最後は恐怖の一本吊橋をこなして大玉沢の出合から入渓する。入渓点からしばらくは単調な河原歩きを続くが、ナベクラ沢のあたりからゴルジュ地形となりようやく沢らしくなって来る。

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最初の淵は少し長めの泳ぎ。増水と曇天のせいかえらく体が冷える。今日はあまり体を濡らさないほうが良さそうだ。ここから先はヘツリを駆使しながら歩みを進めた。その後、正面に岩壁が迫ってきた辺りで1つ目のスノーブリッジが登場。これは右を簡単に巻けた。

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間もなく左手に毛無沢が出合う。険谷と名高いが出合から膨大な雪渓が詰まっており、威圧感が凄い・・・。毛無沢の出合にもスノーブリッジがかかるが、小さいので一気に潜る。毛無沢からほどなくして20m曲滝。逆くの字の豪快な滝だ。ここは左のルンゼ状を登ったがヌメリが多く緊張した。曲り滝の上にはちょっとした砂地があり幕営適地になっている。ここを過ぎるとしばらく適地はないが、まだ早過ぎるので先を急ぐ。

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曲滝を過ぎると3つ目のスノーブリッジ。比較的安定していそうだったので一気に潜るが、抜けた先は巨大ブロックが散乱しておりかなり危険な状況。右岸の高台からブロックを避けられそうなラインを検討し、左岸を慎重にヘツりながら突破した。ここはかなり緊張した。

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 そこからいくつか小滝を越えると2段8mの綾滝。1段目は右から登り、水流を潜ってから2段目は左から。日が差さない中でのシャワークライミングだったが快適だ。このあたりまでは順調だった。

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 綾滝の先のゴルジュは偵察したが少々厳しそうなので、左岸の藪に1Pロープを伸ばして高巻き。本来は西俣沢の出合付近に降りるつもりだったが、高巻き中に大きな雪渓が確認できたため降りても時間を食うだけと判断し、西俣沢出合の先の大滝もまとめて巻いて上に降りるつもりで尾根に上がった。
尾根に上がるとタイミング悪くガスが下がってきて視界が効かなくなってくる。尾根を下降して大滝上へ下降しようとしたが、尾根末端に来た所で時間は16時半。下降用の支点が取れるか確信も持てない・・・軽量化としてロープは1本しか持ってこなかったのが裏目に出たようだ。変に頑張ってハマるのも怖いので、ヤブの中でタープを広げてビバークする事にした。

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水は2人合わせて1リットルほど。酒のツマミとα米を食べて早々に就寝。何とか横にはなれたがなかなかの傾斜地。体がズリ落ちては目が覚め、ズリ落ちては目が覚め・・・長い夜だった。

<8月13日>(曇り)
5:00ビバークポイント発→7:00中俣沢出合付近に下降(釣りタイム)→9:30ヒノキモッコ沢へ→9:30~10:30下部ゴルジュ帯→13:30幕営
少しだけ残しておいた水でお湯を沸かし、お茶を飲んでから出発。喉が乾いていたのでタープに溜まった夜露をすする。結構美味しい。
まずは現状把握のため昨日下ってきた尾根を登り返し。100mほど高度を上げると視界の開けるポイントがあったので慎重に偵察する。すると、昨日はガスのため確認できなかったが中俣沢の出合近くに降りられそうな支尾根を発見。やはりハマった時は一度落ち着いてから観察した方が色々と見つかりやすいようだ。歩きと懸垂を交えて1時間ほどで沢床へ復帰。ここでゆっくり水を飲みながら大休止とし、今後の予定を話し合う。

時間的にはまだ中俣沢を目指しても問題無さそうだが、昨日の雪渓の状態を考えるとこの先も苦労するのは目に見えている。今回はロープ1本で来ているので無理せずヒノキモッコ沢へのエスケープを決定する。
そうと決まれば時間は余裕あるので釣りタイム。釣り下ったパートナーが速攻で良型をゲットし、さらにもう1匹をあげる。僕もここは入れ食いだ!!と意気込んで釣り上がるがなぜか反応なし・・・いないはずは無いのに何故だ・・・

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 気を取り直してヒノキモッコ沢へ入ると出合から100m程度のあいだに5-10m弱の滝が連続する。すべて登れるがどれも側壁立っているため高巻きは大変だろう。エスケープとは言えなかなか楽しめる。出合の連瀑帯を越えると後は特に困難なポイントは無し。イワナもかなり上までいたので竿を出しながら遡行した。

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標高が1100mを越えた辺りから沢が小さくなってきたので幕営適地を探すと、1150mあたりで右岸に小さな段丘を発見。かなり凹凸が大きいが土木工事で何とか寝られるスペースを確保した。

時間もあるのでゆっくり焚火を楽しんで昨晩の疲れを癒やす。酒もつまみも大放出で長い宴会を楽しんだ。

<8月14日>(曇り時々晴れ)
5:00幕営点発→6:30稜線→9:00大玉沢出合→10:15針生平
沢床を風が吹き抜けて結構冷えたせいか、3時頃には目が覚めた。薪も少ないのでガスで朝食を作って早々に出発する。幕営点から先は特に困難なポイントなく高度を稼ぎ、最後の標高差50m程度だけ藪を漕ぐと平岩山の肩にひょっこりと飛び出した。
稜線はトンボが飛び秋の気配。今年はいつにもまして短い東北の夏を思いながら下山した。

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<メモ>
・大高巻きは無いと考えロープ1本で行ったが、雪渓処理を考えるとロープを2本持つべきだった。一番の反省点。
・食材としてセブンプレミアムのサラダチキンを持っていったがなかなか優秀。火が通っているので調理が速い。また、そこそこ水気があるのでビバーク中にそのまま食べられた。
・ヒノキモッコ沢は出合のゴルジュ帯以外はエスケープとして特に問題ない。幕営点は少ないので時間に余裕あれば頑張って稜線~角楢小屋まで下山するのもあり。

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