7月14-16日 超グラビアルート:金木戸川小倉谷を遡行

7月の3連休はお盆山行の練習を兼ねて下田川内の広倉沢を狙っていたが、どうやら今年は雪渓が多いらしい。広倉沢は順調に行ってちょうど2泊3日のコースなので、雪があると下山遅れの可能性もある・・・
というわけで、今回は雪渓の心配が無さそうな北ア小倉谷をチョイス。超のつくグラビア沢なのでなんだか少し恥ずかしかったが、やはりそこは名渓。足慣らしと言うには贅沢なルートを十分に堪能できた。

 

<7月14日>
7:40金木戸川第一ゲート→11:10小倉谷出合→14:30標高1390m地点
金木戸川のゲートから小倉谷の入渓点までは14kmの林道歩き・・・猛烈な暑さの中、林道歩きを黙々とこなす。この週末は北アも暑かったが、標高の低い下田川内に行った同じ山岳会のメンバーは相当しんどかっただろう。

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3時間以上歩いて、ようやく出合に到着。金木戸川は大きな川なのでかなりの水量で、一見浅く見えても渡渉は困難。へつりで突破できないか考えたが、面倒なのでロープを付けていきなり泳いで渡渉。幸い、水もぬるくTシャツでも寒くない。

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 出合からしばらく、小倉谷は平凡な渓相。とは言っても夏空と白い岩、透明度の高い水で遡行感度はかなり高い。

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暫く進むと連瀑帯がスタート。最初のトイ状10m滝は左岸から簡単に巻き、小滝をいくつか越えた先の5m滝は弱点乏しいが、右のルンゼからショルダーで通過。後続はカムにセットしたスリングをアブミ代わりにした。

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 更に次のゴルジュ状の奥の5m滝は左壁からショルダーで突破。

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ゴルジュの先にはすぐに沢が屈曲し15m滝をかけている。これは手前から左岸巻き。

この滝を巻いた跡は平凡な河原になり、絶好の幕営地を発見。進んでも良かったが、ここまでのスピードを見るに急いでもしょうがなさそうなので行動を打ち切った。魚はいないが、焚き火を囲んで快適な夜を過ごす。

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<7月15日>
5:00幕営地→6:30大ゴルジュ帯通過→8:30二俣→10:15 30m大滝→14:00標高2550m地点
ゆっくり出ても良かったが、早朝発もいい練習という事で3時起き5時出発。
泊まった河原から暫く進むとゴルジュ帯のはじまり。朝イチからいきなり泳ぎとなるが、気温も水温も高く寒くはない。

 

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 ゴルジュは次第に狭くなり、側壁にかかる美しい30m滝を過ぎると本流は左へ屈曲する。屈曲点にかかる7m滝が小倉谷の核心になると思うが、右岸からカンテを登ればそこまで困難ではない(出だしでシャワーを浴びる事になるが)

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 この先もゴルジュは続くが、すべて容易に登れる。

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ゴルジュ帯が終わると次はナメ床、ナメ床の次は直瀑と変化が続き飽きさせない。

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直瀑から少し進むと二俣となり、本流の右俣は小滝をかけている。特に見逃すことはないと思うが本流の方が沢床が高いのでやや注意。
さらにこの先も二俣となっており、左右から20m滝で出合っている。ここは空間の広がりが見事で、小倉谷のハイライトだと思う。

進む先は右俣だが、登れないので左俣の滝を登ってから支尾根を乗越して右俣へ復帰する。

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復帰してすぐに二段25m滝が現れるが、下段、上段とも水流右の岩を快適に登れる。

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 さらに少し進んだ先には、地形図にも記載のある30m大滝が現れる。小倉谷の中にある大滝はこれが最後。ここは右岸の崩壊したルンゼから簡単に巻くことができた。

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落口は開けた岩盤になっており展望も抜群。ちょっと前に休憩したばかりだったが、せっかくなので再び休憩。

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この先は目立った悪場もなく容易となり、笠ヶ岳の稜線を望みながら順調に遡行。途中、滝が2つほどあったがどちらも容易に登れる。

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標高2500mくらいまで進んだ所で時刻は14時過ぎ。時間的には笠ヶ岳山荘まで進めるが、タープしか持っていない我々には寒そうなので幕営適地を探すと、一箇所涸れ沢を整地すれば張れそうな所があったので幕営。(とは言っても、伏流した小沢なので悪天の時は適さない。確実な幕場を求めるなら2300mくらいまでか)

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 焚き火は諦めていたが、枯れたハイマツを集めるとそれなりにちゃんとした焚き火を熾すことが出来た。

夜は日の入りを眺めながらまったり。ロケーション抜群のテン場だった。

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<7月16日>
4:00幕営地→5:10笠ヶ岳ピーク→7:20播隆平→9:30新穂高温泉
下山も長丁場、かつ連休最終日ということで渋滞もひどそうなので早めに出発。ガレ沢を詰めて1時間足らずで山頂に到着。

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 笠ヶ岳に来るのはこれがはじめて。主稜線から少し離れているけど美しい山だ。
次はスキーで来たい。

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笠新道を下山路に取ったが、これがえらい急な下りで難儀させられる。我々は下山だから良いが、猛烈な暑さの中登ってくる人達はさぞ大変だろう。
9時半ごろ、新穂高温泉に到着。車回収や3連休の渋滞を経て、東京に戻ったのは19時半だった・・・。

<メモ>
・足が揃っていれば1泊で沢は抜けられるが、笠ヶ岳山荘で幕営するか残業覚悟で新穂高温泉に降りることになる。沢慣れしたパーティーなら、2泊3日の計画で打込谷を下降すると満足度が高くなると思う。
新穂高温泉に抜ける場合、新穂高の無料駐車場に駐車→タクシーでゲートへ移動がタイムロス無く楽しめる。
・電波は金木戸川ゲート手前まで◎。ほか、沢中は標高2000m以上では割と通じた(docomo笠ヶ岳山頂、笠新道もかなりの割合で通じる。

6/9-10 奥只見/袖沢南沢 岩穴沢左俣左~白石沢スラブ

奥只見湖~田子倉湖の辺りは日本有数の豪雪地帯となっており、雪崩に磨かれて大きなスラブが発達している。

はじめてこのエリアに興味を持ったのは別冊太陽「日本の秘境」を読んだのがきっかけ。奥只見には「片貝ノ池&貝ノ嵓スラブ」というダムのバックウォーターに守られた幻の池とスラブがある!という記述を見て、いつか訪れたいと思っていた。

が、色々と記録を調べていると貝ノ嵓スラブの対岸には同規模のスラブがあるというのでそちらへ行くことに(グーグルマップでも見れるけどめっちゃデカイ)

難易度は高くないけど、秘境感強くて良いルートだった。

無題

 

<6月9日>
7:00奥只見ダム→袖沢南沢林道→9:30岩穴沢出会い→12:30稜線→15:00奥只見湖バックウォーター
今回の「白沢スラブ(仮称)」は奥只見湖のバックウォーターに面しているため、取り付こうと思ったら尾根向こうの奥只見ダムから林道歩き&沢&藪尾根のアプローチが必要になる。というわけで丸一日アプローチ。
今年は雪解けが早いと聞いていたがそこはさすがの豪雪地帯、林道も沢も雪が残っていた。おかげであまり期待していなかったが山の幸も少々頂く事ができた。

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登りに使う岩穴沢は多少の滝が出てくるらしいが、時期が早いこともあって雪渓に覆われており、ほぼ単調な雪渓歩きに終始。ただし、沢中の岩は事前情報通り結構ヌメっている。

また、30m大滝はこの時期でも露出していた。ロープを出すか少々迷ったが、今回は初顔合わせのメンバーもいるので念の為で2ピッチ。プロテクションは灌木で取れる。

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藪尾根を下降するとちょうど奥只見湖のバックウォーター。

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一段上がった場所にツェルトを張って、山菜をつまみに焚き火に勤しむ。

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<6月10日>
6:00幕営地→7:00白沢スラブ取り付き→8:00稜線→岩穴沢左俣右沢下降→10:00岩穴沢本流出合→13:00奥只見ダム
スラブ登りと下りに使う沢の状態(雪渓)が読めないので早めに出発。
ちょっとした高巻きを交えつつ、幕営地から1時間ほどでスラブの取り付きに到着。前日尾根を下降しているときも確認はしていたが流石に大きい・・・!

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が、実のところ斜度はそうとうユルい。とは言えピンは取れないので慎重に登る。

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背後に広がる奥只見湖と巨大スラブを見つつ、1時間ほどでトップアウト。

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10分ほど藪を漕ぐと、ちょうど下降に使う沢へ合流できた。

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 下降に使った沢もうまい塩梅に雪渓が残っており、淡々と高度を下げる。帰りも家の土産にする程度の山菜は得ることができた。

 

・登り、下りともに雪渓がちょうど良い状態で残っていたため時間が短縮できた。雪渓がズタズタだともう少し時間かかるか?

・標高低いのでベストシーズンは5月末~6月頭or9月~10月。