下田川内 中杉川

お盆に大水量の沢を予定している事もありトレーニングとして川内山塊の中杉川へ。過去の水害で難易度が下がっているが、素晴らしいゴルジュを満喫できた。

<7月21日>
6:50早出川ダム→9:20中杉川出合→10:00子落としの悪場→11:30下部ゴルジュ通過→12:10上部ゴルジュ/14:00突破→14:30幕営
下山地となる悪場峠に車をデポして、タクシーで早出川ダムへ。(約20分、3,000円)
ヒルに怯えながら湖岸道を歩くが見たのは2-3匹ほど。猛暑で地面が乾いているせいか元気が無いようだ。結局、入山も下山もヒル被害はゼロだった。

駒の神まで登山道を歩いたあとは松次郎のゼンマイ径へ。途中踏み跡が薄くなる場所もあったが、順調に中杉川の出合に到着。

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早出川の本流に降り立つのは初めてだが、連日の猛暑ですっかり減水しているようだ。

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子落としのゴルジュは登れない滝があるようなので、すぐに左岸ルンゼから高巻き。やや悪い木登りで支尾根に登ったあと、40mの懸垂下降で最後の滝の上に出た。連日の猛暑は山も同様で、高巻きで沢を離れた途端に汗が吹き出す。

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※ちなみに我々はロープ2本あったので面倒になって一気に降りたが、丁寧に灌木を繋げばロープ1本の懸垂で十分下まで届くと思う。

子落としの悪場を過ぎたらここからは下部ゴルジュの始まり。

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事前情報の通り、2011年の水害でだいぶ川床が埋まったようで泳ぐ場所はあまり無い。
ときおり渋めのボルダムーブをこなしながら快調に遡行する。核心と言われる2m滝も含め、ロープは不要だった。

ホリンド沢を分け、下部ゴルジュを抜けると一箇所だけブナ林が左岸まで降りてきた標絶好の幕場を発見。時間は余裕ありそうだし、遡行していても暑い・・・ので長めの休憩をとって涼む。ちょうど良いウォーターベッドだ。

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ここは増水があってもすぐ逃げられるので、ここまでの遡行で時間を食った場合は泊まっても良いと思う。

幕張の先から上部ゴルジュがスタートする。こちらも埋まっており難易度は高くないが、ゴルジュの造形美を存分に堪能できる。

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井戸の底のようなゴルジュ。4年前に行ったジッピを思い出す。

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14時過ぎに上部ゴルジュを抜けた先で幕営適地があったので行動終了。寝場所としてツェルトを張ってみたが、猛暑で中に入っていられない・・・
山域名物のヤブ蚊の攻撃に悩まされながら、ツェルトの外でゴロ寝をした。

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<7月22日>
4:50発→5:15堰止め湖→8:30銀次郎山/8:50下山→11:30悪場峠
暑くなる前に下山ということで2時半起きの予定だったが、気づけば時刻は3時半!慌てて出発する。

この先は難所も少ないが、幕場からしばらく進んだ所で大規模な山抜けが発生しており、天然ダムができていた。

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下山後に遡行済みの知人に聞いたら2年前はなかったとの事で、ここ最近のものらしい。昨日は好天を良い事に河原でゴロ寝していたが・・・少し反省した。

 この先で沢は二俣に分かれ、銀次郎山を目指す我々はユウ沢を忠実に遡行する。5-10mサイズの連瀑帯も出てくるが、途中で1つ巻いた以外はすべて登ることが出来た。

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沢型が不明瞭になり、露岩のスラブを少し詰めると銀次郎山の登山道に飛び出す。

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ピーク標の脇にはステンレス製の箱があり、登頂表が収められていた。かなりマイナーな山のはずだが、結構な人が登っているようで驚き。僕も川内山塊に通っていれば何度も来ることになるのだろうか。

銀次郎山から悪場峠までの道は、はっきり言ってかなり長く感じた。標高の割にはアップダウンも多く、猛暑の中でみるみる体力が削られていく・・・。大汗をかきながら、3時間ほどでデポした車にたどり着いた。

 

<メモ>

・水害で埋まったのと渇水でかなり難易度が下がっており、順調に遡行できたと思う。以前は4級だったようだが現状では3級か?
・湖岸道の道は結構悪い、転落要注意。ゼンマイ径は比較的明瞭。アップダウンも少ないので踏み跡が薄くなった場合も周囲をよく観察すれば見つけられると思う。
・ロープは懸垂下降以外では使用せず。今回は練習で2本持っていったが1本で十分。

・水無平~悪場峠の踏み跡は比較的明瞭。悪場峠に出る手前は踏み跡が薄くなるが、足元の草が少ないので分かるはず。

7月14-16日 超グラビアルート:金木戸川小倉谷を遡行

7月の3連休はお盆山行の練習を兼ねて下田川内の広倉沢を狙っていたが、どうやら今年は雪渓が多いらしい。広倉沢は順調に行ってちょうど2泊3日のコースなので、雪があると下山遅れの可能性もある・・・
というわけで、今回は雪渓の心配が無さそうな北ア小倉谷をチョイス。超のつくグラビア沢なのでなんだか少し恥ずかしかったが、やはりそこは名渓。足慣らしと言うには贅沢なルートを十分に堪能できた。

 

<7月14日>
7:40金木戸川第一ゲート→11:10小倉谷出合→14:30標高1390m地点
金木戸川のゲートから小倉谷の入渓点までは14kmの林道歩き・・・猛烈な暑さの中、林道歩きを黙々とこなす。この週末は北アも暑かったが、標高の低い下田川内に行った同じ山岳会のメンバーは相当しんどかっただろう。

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3時間以上歩いて、ようやく出合に到着。金木戸川は大きな川なのでかなりの水量で、一見浅く見えても渡渉は困難。へつりで突破できないか考えたが、面倒なのでロープを付けていきなり泳いで渡渉。幸い、水もぬるくTシャツでも寒くない。

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 出合からしばらく、小倉谷は平凡な渓相。とは言っても夏空と白い岩、透明度の高い水で遡行感度はかなり高い。

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暫く進むと連瀑帯がスタート。最初のトイ状10m滝は左岸から簡単に巻き、小滝をいくつか越えた先の5m滝は弱点乏しいが、右のルンゼからショルダーで通過。後続はカムにセットしたスリングをアブミ代わりにした。

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 更に次のゴルジュ状の奥の5m滝は左壁からショルダーで突破。

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ゴルジュの先にはすぐに沢が屈曲し15m滝をかけている。これは手前から左岸巻き。

この滝を巻いた跡は平凡な河原になり、絶好の幕営地を発見。進んでも良かったが、ここまでのスピードを見るに急いでもしょうがなさそうなので行動を打ち切った。魚はいないが、焚き火を囲んで快適な夜を過ごす。

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<7月15日>
5:00幕営地→6:30大ゴルジュ帯通過→8:30二俣→10:15 30m大滝→14:00標高2550m地点
ゆっくり出ても良かったが、早朝発もいい練習という事で3時起き5時出発。
泊まった河原から暫く進むとゴルジュ帯のはじまり。朝イチからいきなり泳ぎとなるが、気温も水温も高く寒くはない。

 

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 ゴルジュは次第に狭くなり、側壁にかかる美しい30m滝を過ぎると本流は左へ屈曲する。屈曲点にかかる7m滝が小倉谷の核心になると思うが、右岸からカンテを登ればそこまで困難ではない(出だしでシャワーを浴びる事になるが)

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 この先もゴルジュは続くが、すべて容易に登れる。

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ゴルジュ帯が終わると次はナメ床、ナメ床の次は直瀑と変化が続き飽きさせない。

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直瀑から少し進むと二俣となり、本流の右俣は小滝をかけている。特に見逃すことはないと思うが本流の方が沢床が高いのでやや注意。
さらにこの先も二俣となっており、左右から20m滝で出合っている。ここは空間の広がりが見事で、小倉谷のハイライトだと思う。

進む先は右俣だが、登れないので左俣の滝を登ってから支尾根を乗越して右俣へ復帰する。

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復帰してすぐに二段25m滝が現れるが、下段、上段とも水流右の岩を快適に登れる。

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 さらに少し進んだ先には、地形図にも記載のある30m大滝が現れる。小倉谷の中にある大滝はこれが最後。ここは右岸の崩壊したルンゼから簡単に巻くことができた。

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落口は開けた岩盤になっており展望も抜群。ちょっと前に休憩したばかりだったが、せっかくなので再び休憩。

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この先は目立った悪場もなく容易となり、笠ヶ岳の稜線を望みながら順調に遡行。途中、滝が2つほどあったがどちらも容易に登れる。

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標高2500mくらいまで進んだ所で時刻は14時過ぎ。時間的には笠ヶ岳山荘まで進めるが、タープしか持っていない我々には寒そうなので幕営適地を探すと、一箇所涸れ沢を整地すれば張れそうな所があったので幕営。(とは言っても、伏流した小沢なので悪天の時は適さない。確実な幕場を求めるなら2300mくらいまでか)

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 焚き火は諦めていたが、枯れたハイマツを集めるとそれなりにちゃんとした焚き火を熾すことが出来た。

夜は日の入りを眺めながらまったり。ロケーション抜群のテン場だった。

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<7月16日>
4:00幕営地→5:10笠ヶ岳ピーク→7:20播隆平→9:30新穂高温泉
下山も長丁場、かつ連休最終日ということで渋滞もひどそうなので早めに出発。ガレ沢を詰めて1時間足らずで山頂に到着。

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 笠ヶ岳に来るのはこれがはじめて。主稜線から少し離れているけど美しい山だ。
次はスキーで来たい。

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笠新道を下山路に取ったが、これがえらい急な下りで難儀させられる。我々は下山だから良いが、猛烈な暑さの中登ってくる人達はさぞ大変だろう。
9時半ごろ、新穂高温泉に到着。車回収や3連休の渋滞を経て、東京に戻ったのは19時半だった・・・。

<メモ>
・足が揃っていれば1泊で沢は抜けられるが、笠ヶ岳山荘で幕営するか残業覚悟で新穂高温泉に降りることになる。沢慣れしたパーティーなら、2泊3日の計画で打込谷を下降すると満足度が高くなると思う。
新穂高温泉に抜ける場合、新穂高の無料駐車場に駐車→タクシーでゲートへ移動がタイムロス無く楽しめる。
・電波は金木戸川ゲート手前まで◎。ほか、沢中は標高2000m以上では割と通じた(docomo笠ヶ岳山頂、笠新道もかなりの割合で通じる。