9/22-24 奥利根 奈良沢川三ツ石沢~三番手沢の下降

<はじめに>

本当は、今シーズンの総決算として飯豊川本流に行きたかった。そんな思いで準備を重ねていた計画は9月の週末に続いた悪天であっけなく流れてしまった。

しかも転進プランを考えようにもどこもかしこも雨・・・リスク高いしモチベーションはどんどん下がるしで、3連休は1日+αのプランでも良いかなと思っていた。しかし、メンバー1人が京都から出てくる事になっているので、相応のルートでなければ見合わない。
議論に議論を重ねた末、なんとか行動の辻褄は合うか・・・という事で腹を決めて出発前夜に船を予約したのだった。

 

<9月22日>雨のち曇り

11:30バックウォーター→13:00三ツ石沢出合
都内をゆっくりと出て、昼前にやぐらの船でバックウォーターまで送ってもらう。こんな時間に入山するのは4年前のガンガラシバナ以来だろうか。あの時も確か増水していたな・・・と思いながら入渓する。

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本来は穏やかなはずの奈良沢川の流れは連日の雨で増水し、何気ない流れにも気を使いながらの行動だ。それでも空からほとんど雨が落ちてこないのは不幸中の幸い。14時頃から焚き火を楽しんで英気を養った。

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<9月23日>晴れ
5:40発→6:00中三ツ石沢→7:30二俣→9:40屈曲点→10:40大滝/12:00落口→14:10稜線→15:30標高1450m(C2)
この日は長丁場になりそうなので夜明けと同時に行動。昨日の増水はすっかり引いており、行動に支障はなさそうだ。中三ツ石沢の出合までは特に何もなく順調に遡行、そこから先のナメ滝は滑りやすいので左岸の草付きを慎重に行動する。昨日から気になっていたが、苔のせいで滑りやすい沢のようだ。靴はフェルトのほうが良いのかも知れない。

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時おり高巻きを交えながら滝やゴルジュ帯を突破していくと大きな淵を持ったCSに突き当たる。試しに突破できないか近づいてみるが、流れが強くて取り付けない。ここは右岸から高巻いていく。先に大滝が見えるので一緒に高巻こうかと思ったが、とりあえず懸垂で下まで降りてみることに。ここで藪の中にカメラを落としかけたのが山行最大のピンチポイントだったか・・・。

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 懸垂で大滝の下まで降りては見たものの、やはり取り付くのは難しそうで結局高巻きに。左から降りてきているルンゼを渡り、再び右岸から高巻いた。ここはCSからずっと高巻いてしまうのが時間的にも無駄がないだろう。
この高巻きで若干時間を使ったものの、10時半頃には40m大滝の下に到着。過去の記録は時間の都合で巻いているようだが、一見すると登れそうだ。時間は大丈夫そうなのでここはワガママを言って登らせてもらうことに。

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取り付く前は水流左際から左壁に行けば簡単だろうと思っていたが、水流から左壁に移るところが思った以上に悪い。それならば水流沿いと思うがこちらは苔で猛烈に滑る・・・パートナーが「意外と悪いと思うよー」と言ったのは正しかったか。慎重に左壁を登ったが、途中も大したプロテクションが取れずかなり緊張した。それでも、リードで滝を登っていくのはやはり楽しい。

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大滝の上から先は小さいが開けた渓相。5mクラスの小滝が連続するが全て直登できる。

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グイグイと行動を上げ、最後に15分ほど藪を漕ぐと二番手山の肩に出た。番手尾根からは巻機山からの稜線、そして眼下には奥利根湖が広がる素晴らしい展望だ。

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稜線上は何とか泊まれる場所もあるのでここで行動終了のつもりだったが、風が強く寒い夜になりそうなので頑張って下降することに。どこかに3人が寝られるポイントがあるとの見込みだ。
草付斜面~沢筋へと下降を続け、15m懸垂×2を終えた1450m地点で狭いが平らな場所を見つけたのでツェルトを張る。草を刈って敷き詰めれば快適なポイントだ。ささやかな焚き火も楽しめ快適な夜となった。

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<9月24日>曇りのち晴れ
5:40発→6:00三番手沢本流→9:00小沢→10:00奈良沢川(焚き火、昼寝)→13:45バックウォーター
この日はひたすら三番手沢を下降。過去の記録から分かってはいたがスラブと滝の発達した峻渓で、高巻きと懸垂下降が連続する。

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三番手沢本流に合流する滝はクライムダウンで処理できたが、それ以外の目立つ滝はほとんど右岸巻き。モンキークライムの繰り返しで腕がだるくなったが、標高1150mを過ぎたあたりから徐々に滝や釜も小さくなって沢下りを楽しめた。沢の中には倒木も目立ち、キノコも少々収穫できる。

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穏やかな沢下りを楽しんでいるとやがて小沢の本流へ合流。さらに下降を続けると2日前に通過した奈良沢川へ出合う。迎えの船までツェルトを干しながら昼寝をし、奥利根の雄大な流れと見事なブナ林を味わった。

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<メモ>

・三番手沢の下降で懸垂下降を多用するので50mロープは2本必要。捨て縄も用意すべき。

・どちらの沢も幕営適地は少ない。過去記録とも比較したが、18年9月の時点では我々の幕営地がベストだったと思われる。