8月10-13日 飯豊川本流:その②

<8月11日>晴れ

5:00BP→6:30ヒルカルの悪場→7:45不動滝→9:15不動滝上→10:00洗濯沢出合→10:50赤渋沢出合(高巻き)→15:50地蔵カル沢出合(高巻き)→17:30大日沢手前BP

 この日は最低でも洗濯沢まで、できればその先まで進んでおきたい。長丁場に備えて5時に出発。今日はヒルカルの悪場でどれだけ時間を使うかがポイント。テン場からすぐの大淵を左岸バンドから越えると、次は水流突破が難しそうな4mCS滝。過去の記録でもみな苦労していたポイントだ。ここは水流左のチョックストーンにカムアブミで一段上がり、さらに岩が挟まる上部はステミングから左の凹角に身体をねじ込んで這い上がる。ここは空身+荷揚げになるが立体的でムーブが面白い。

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この先は急激に側壁が立ち上がり、ゴルジュ地形が発達して流れの強い淵が続くようになる。いよいよヒルカルの悪場本番、といったところか。

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過去の記録でみな苦労している1~2m滝となっている滝は50cm程度の落ち込みとなっていた。ここも2011年の水害を始めとした出水で埋まってしまったのだろうか。そうは言ってもここは水流が強く、まともに泳いで突破するのは不可能。過去の記録では右壁からかなり苦労して突破しているが、今回は泳いで水流左のバンドに這い上がって登ることができた。時間短縮のため、後続は水線沿いにロープで引っ張る。

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次に現れる大水量の落ち込みは右岸バンドに空身でロープを伸ばす。ここは落ちると釜に巻き込まれる可能性があるので慎重にランナーを取り、すぐに流せるよう後続は肩絡みで確保した。
大ゴルジュ帯に終わりが見えてくると、沢には冷気が立ち込めて最初のスノーブリッジが登場。

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寡雪だった07年、16年の記録では記述がなかったので今年の残雪量は例年並みと予想。果たしてこれが上部ゴルジュでどう影響するのか、想像はつかないが早めに行動するに越したことはないだろう。雪渓を静かに潜り抜けると、奥には不動滝50mが鎮座していた。これはどう見ても手がつけられないので左岸から高巻き。

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 出だしの草付きが悪いので1Pロープを出し、ブッシュ帯に入ってから尾根を乗っ越すと、クライムダウンで不動滝の上に出ることができた。ここの高巻きは1時間程度で終了、大きく時間を節約できた。
ここからは特に悪場もない河原になるので淡々と歩いて10:00に洗濯沢出合に到着。

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この先の雪渓処理でどれだけ時間を食うか読めないが、まだ時間はあるので昨夜の打ち合わせ通り先に進むこととする。(最悪、お座りビバークも覚悟)
赤渋沢出合から再び沢は屈曲し、赤茶けた側壁を持つ猛烈なゴルジュが始まる。ここからがまさに飯豊本流の核心で、このゴルジュは飯豊本流の内臓といったところ。

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 赤い側壁と青い水の流れが美しいが滝は全く好意的ではなく、少し進んだところで突破の難しい滝が現れる。ここは戻って赤渋沢の少し先のルンゼから高巻くこととする。

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ここからはどれだけ時間がかかるか分からないので水筒に水を満たし、水でじっくりクールダウンしていざ高巻きへ。取り付いたルンゼはワンポイント悪いので1Pロープを出す。ルンゼ内の岩は脆いのでかなり注意が必要だ。高度を上げてからシャクナゲの藪を漕ぎ、小リッジに立つと眼下のゴルジュには雪渓が詰まっている。

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ここは懸垂すれば雪渓上に降りられそうだが、雪渓は地蔵カル沢のかなり手前で途切れているのが確認できる。3人で協議した後、ブッシュ帯からの50m懸垂で雪渓に降り立って雪渓末端を確認することとする。いざとなれば懸垂したラインを戻ることは可能だ。
雪渓に乗って進むと末端から沢床までは20m近くあり、側壁から降り立つことも不可能。ここは雪渓を削ってスノーボラードを作り、そこから懸垂で沢床に降りることにする。

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ここは迂闊にロープを引き抜くと詰みかねないので沢床に降りた1人目が下流を確認し、安全に戻れる事を確認してから後続がスタート。3人降りたところでいざロープを回収と思ったがスタック・・・!側壁に凹凸が多かったのであらかじめ結び目を移動させていたが、どうやら不十分だったようだ。ここはかなり冷や汗が出たが必死で登り返して結び目を回収。ロープを無事回収することはできたが、1hr近く雪渓上と下で作業を行うことになったので反省。手前から雪渓をくぐった方がリスクに曝される時間が少なかっただろう。

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ここで15時、地蔵カル沢手前に快適とは言えないが一晩過ごせそうなポイントを確認したがまだ進めそうなので行動を継続。この先の雪渓を潜ると地蔵カル沢の先で崩壊したブロックが散乱した場所に出るが、この先の沢が崩れた雪塊で埋まって塞がれており、沢中の突破は不可能。左岸から高巻きに入った。

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このあたりで時間は17時を過ぎてきたので高巻き中のビバークも覚悟し始めるが、懸垂で沢に降りると大日沢手前に幕営適地が現れたので本日はここで行動終了。ツェルトも張れて薪もあり、快適な幕営地を確保できた。
夜は冗談で明日には本山小屋まで行けるのでは、なんて話も出た。。