2019/12/28-30 槍ヶ岳 横尾尾根:その③

その①、その②からの続きです。

weekendclimber.hatenablog.jp

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<12月30日>吹雪のち雨
6:40肩の小屋→槍ヶ岳往復(7:50帰着)→8:30肩の小屋発→14:30槍平小屋→16:20白出沢出合→17:30新穂高温泉
昨日の疲れも残っていること、また今日中に安全地帯まで降りられる目処がついたので遅めに起床。ロープだけ持って空身で槍ヶ岳を目指す。
予報通り、風も雪も強いが過去の記憶を頼りに山頂へ。冬の槍ヶ岳には何度か来ているがやはり感慨深い。後輩3人と槍まで無事たどり着いたことを噛みしめる。

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山頂から小屋に戻り、デポした装備を回収して今度は大喰岳へ。昨日と打って変わって今日は強烈な風とホワイトアウトで視界ゼロ。条件が良ければ飛騨沢を下りたいところだが、今日のコンディションでは難しい。
予定通り大喰岳西尾根から下山を始めるが、猛烈なホワイトアウトで何度も派生した支尾根に引き込まれては登り返し、遅々として行程がはかどらない。いっそ大喰沢か飛騨沢に降りてしまいたくなったが、地形によってはあちこちシューティングクラックが入る状況・・・
こんな時は焦って下ったり沢筋に入り込んでもしょうがない。気分を入れ替え、飯を食べたりテルモスの湯を飲みながらじっくりルーファイを続ける。2700m近くまで来ると尾根筋も次第に明瞭となりペースも上がってきたが、2500m近くまで降りるのに結局4時間ほど費やしてしまった・・・。ここは早めにスマホGPSアプリをチェックするか、下り始めるときにコンパスを切るべきだったと反省。吹雪で億劫になっていたが、さっさと決断するべきだった。
夏道に合流すると前日のスキートレースが残っている。(後日、SNS交流のある方のものと判明)トレース沿いにラッセルを続けると槍平の小屋が見えてくる。
ここで14時をまわっていたので自分は泊まってしまっても良いかと思っていたが、学生2名は完全に下山するモードなので勢いに引っ張られて下山することに。何となく年の差を感じた笑


高速道路と化したトレースを黙々と辿り、雨が降る中を新穂高に下山!
タクシーが全く捕まらないので軒下ビバークを覚悟していたが、なんとか終バスに滑りこめたので平湯の某所で宿泊。思いのほか順調だった山行を盛大に打ち上げた。
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・まさか冬の横尾尾根を2泊3日で終えることになるとは思っても見なかった。トレースあり、天気良し、2日間とも避難小屋泊という事で今回は完全に条件に恵まれていた。

ラッセルやテント生活など冬山の醍醐味(苦しみ?)と無縁だったことはやはり物足りないが、2日目の槍ヶ岳まで行く判断や大喰岳西尾根からの下山など、パーティーとして判断を問われる場面ではお互いが意見を出し合い、その場その場でベストな判断を下すことができたと思っている。
・年末年始に北アルプスに行くのは4年前の北鎌尾根以来。いかにコンディションに恵まれても冬の北アルプスは総合力を問われる事を実感した。

 

<メモ>
・横尾尾根は槍沢側に雪庇が出ている。視界不良時は特に横尾の歯から先など、注意が必要。
・大喰岳西尾根の上部は広いため視界がないとルーファイで時間を食う。早めにGPSやコンパスで角度を切ったほうが良い。
・装備や食料については以下の通り。
■食事
・食料は3泊4日+予備2日分(朝食、夕食を各5回分)用意した。
・初日の夕食以外、食事は夕食:ペミカン+α米を各自1.5合。朝食はペミカン+パスタ各自100g。お湯を沸かせば食べられるメニューとした。
■装備
・火器類は1.8lのジェットボイル*1、プリムスのP-153を一つ。湯沸かしや水作りにジェットボイルを使い、P-153はペミカンの湯煎やパスタを茹でるのに使用。
・ガスは500mlを6本持参。初日は水作りもなかったので1本しか使わなかった。
・カムやハーケンは若干数持参したが使用せず。
・寝具はサーマレストのプロライトプラス(ショート)+モンベルの#3。。
■衣類
組み合わせは以下の通り。4年前の北鎌とほぼ一緒。
ベースレイヤー:キャプリーン4ワンピース
中間着:R2ジャケット、モンベル:マウンテンガイドパンツ
アウター:スーパーアルパインジャケット&ビブ、防寒着:DASパーカー
靴下:アルパインクライマーソックス、靴:ネパールエボGTX
手袋:セブンの薄手手袋+オルトボックス:ベルヒテス+ヘリテイジ:オーバーグローブ
・取り扱いを考えると未脱脂のウールグローブや化繊の防寒着は冬の連泊ならまず外せないというのが個人的な結論。ネパールエボは少し寒いのでダブルブーツでも良かったかも。
・物干しはプラティパスにお湯入れてアイロン&着干しで対応。α米を戻してるときに靴下とか被すとよく乾きます。