9月21-23日 北山川支流 立合川

9月後半の3連休は、同じ山岳会のみつおさんと、京都在住のみなぽさんと大峰の立合川へ。初めてのエリアだったが、非常に満足度の高い遡行を行うことができた。

<9月21日>

6:00京都→10:30立合橋/11:00入渓→13:30大滝→15:30幕営地

夜行バスで京都に6時→入渓点までは下道で4時間半。立合橋から山道を50mほど下って沢床へ降り立つ。入渓してすぐの第一ゴルジュでウォーミングアップ。水温は高いので泳ぎも苦にならないだろう。

時間も遅いので誰にも合わないだろうと思っていたら、若い3人組に途中で遭遇した。立合川はキャニオニングのツアーにも使われているようで、彼らはよりきや淵滝まで行って引き返すらしい。

よりきや淵滝から5分ほど遡行するとすぐにナメが現れる。白い岩肌に青い水が流れる渓相は、これまで訪れた沢とは全く異なっている。この時点で早くも期待値はストップ高。

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ナメを堪能しながら遡行を続けるとやがて両岸が立ち上がり、はま松滝が現れる。第二ゴルジュの始まりだ。ここは空身で泳いで右側の壁から突破した。

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はま松滝から7m滝を越え、銚子滝を超えると沢が急に屈曲し、一層細まったゴルジュとなる。その先には・・・圧巻の光景が広がっていた。

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 洞窟状にえぐれた空間に、大きな釜を持った35mの大滝がかかっている。

地の底から天を覗くような不思議な感覚に、しばし時間を忘れて釜の中を泳ぎまわった。

当然のことながら大滝に挑むだけの実力は無いので巻き道探しに入るが、最初に選んだ銚子滝のすぐ横のルンゼはかなり悪く、7m滝まで引き返して巻くことにした。

沢の50mほど上には遊歩道が続いているので、そこまで巻き上がれば安全に高巻くことができる。

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遊歩道に上がったのは15時過ぎ。夜行の疲れもあるので広いスペースを見つけて幕営とした。

夕食はみなぽさんが仕込んできた塩豚のホイル焼き。料理が上手とは聞いていたが、山の中でこんなに贅沢なものが食べられるとは思っていなかった。

19時過ぎに就寝。僕は快適な夜を過ごしたが、みなぽさんはマダニに襲われて大変だったらしい。

 

<9月22日>

6:00発―6:40第3ゴルジュ-8:30第4ゴルジュ-9:50うしお滝-14:00第7ゴルジュ-14:30第8ゴルジュ手前で幕

ミートソーススパゲッティと、昨日仕込んでいたプリン(!)を食べて6時発。昨日のうちに目星をつけておいたルンゼから沢に降り立った。天気も上々で、快適な遡行を予感させる。

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 しばらく進むと沢が大きく屈曲し、左岸に30mの滝をかけている。ここは左の壁にロープを伸ばし、木馬道まで巻き上がってから懸垂下降で沢に復帰した。

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沢に復帰すると行き着く暇もなく第4ゴルジュへ。持参したトポでは左岸巻きとなっていたが、流れも弱く水位も低いので水線通しに遡行。

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 透明度の高い水に差し込む朝日。息を飲むような素晴らしいゴルジュが100mほど続く。

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ゴルジュを抜けると渓相は一変し、美しいナメへ。変化に飛んだ渓相に目を奪われっぱなしだ。自分の拙い沢経験の中では、トップクラスと言っていいだろう。f:id:wak2006:20130922085853j:plain

朽ちた吊り橋を過ぎ、トチの巨木の下で一服入れるとすぐに40mほどの大滝が登場。これがうしお滝40mだろう。

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 右岸に入るルンゼから巻きに入り、バンド伝いに登っていく。

この滝に限らず、ほとんどの滝の岩壁にはバンドが斜めに走っているため、バンドと樹木をうまく繋いでいけばロープ無しで巻いていくことができるようだ。

うしお滝の先は巨岩帯。ボルダームーブを強いられる場面が多く、リーチの問題でみなぽさんは少々苦労していた。

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この先も第5・6・7とゴルジュが連続するのだが、見せ場が続いたせいか 正直なところあまり記憶が無い・・・。基本的には通過不可能な滝に出くわしては高巻きの連続だった。

そんな中で記憶に残っているのが、第7ゴルジュの高巻き中に下を眺めたところ。

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岩を切り裂くように水が流れ、エメラルドグリーンの滝壺へと落下していく。

あまりに美しくそのまま飛び込みたい衝動に駆られるが、当然飛び込めばタダじゃ済まないのでグッと我慢。

さて、時間は14時。頑張って八丁河原まで進んでから幕営したいところだが、第8ゴルジュでは大高巻きが予想されるため、余裕を見て少し早めの幕営とした。

餃子鍋を食べて19時頃就寝。

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<9月23日>

6:00発―7:45第8ゴルジュ先-8:50八丁河原―10:30稜線-12:30上葛川集落へ下山 

幕営地から5分足らずで第8ゴルジュの入口に到着。最初の滝は左岸に軽くロープを出して越える。その先には10m前後の滝が連続して見えており、一見して登れなそうなので右岸のルンゼから巻きに入る。出だしで1ピッチロープを使用。

目の前には大きな岩壁が立ちふさがるが、基部を左上していくと弱点を拾って登ることが出来た。懸垂15mで沢床に復帰。

トイ状6mを左から越え、廊下状のゴルジュを進むと出口には20m弱の滝がかかっている。

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これで大滝は最後だろう。しばし別れを惜しんでから、右手のガレ~壁に取り付いて巻き登った。 

大滝の先は巨岩帯となり、急に水が伏流となる。右手の台地には朽ちた植林小屋があり、往時を偲ばせる。

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ここから沢は急激に高度を上げ、笠捨山の稜線へと詰め上がっていく。僕たちはツメを微妙に間違えて尾根を上がることになったが、尾根伝いもヤブは少ないのでそれほど問題はなかった。

稜線に出たあとは西に伸びる登山道(エアリアマップでは破線)を2時間ほど下ると下山地の上葛川。

バス&2キロ弱の歩きで入渓点へ戻って車を回収。道の駅おくとろで汗を流し、京都から夜行バスで帰京した。

 

<ギア>

50mロープ×1、10mお助け紐×1、カム・ハーケン若干、スリング(60cm~240cm各4本程度)、ライフジャケット×2、ガス250mlなど。

・長い懸垂下降はないので50mロープ1本で問題なかった。

・各ゴルジュの滝に登攀の余地は少なく、ほぼ高巻きとなる。カム・ハーケン類はほぼ使用せず。

 

<ウェア>

上半身:ファイントラック フラッドラッシュスキンメッシュ、フラッドラッシュジップネック

下半身:ウェットスーツ+半ズボン

足回り:沢スパッツ、化繊製靴下、渓流シューズ(アクアステルス底)

防寒着:ウールの下着上下(暑くて使用せず)

・水温は高いので、ウェットスーツではなく普通のタイツでも良かったか。

・メンバーの足回りはフェルト1名・アクアステルス2名。フェルトよりアクアステルスが有効だった。

 

<感想など>

・遊歩道はややマダニが多い。要注意。ちなみにヒルは5匹ほど確認。

・下山後にバスを使って移動する場合、国道と交差するところで降ろしてもらうと車の回収が楽。

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前週が台風のせいで思うように登れなかったこともあり、今回の山行はかなり気持ちが入っていた。予報の段階では紀伊半島だけ悪天の予報もあって心配したが、フタを開けてみれば3日間とも晴天。諦めずに入渓して良かった・・・!

みつおさん・みなぽさんありがとうございました。また、一緒に登りましょう。