10月12日ー14日 前穂高岳北尾根
ぼくは大学のサークルで山を始めたのだが、例年10月の3連休に現役・OB有志で涸沢に集中して登山を行っている。
これまでは一般道経由で涸沢を目指すことが多かったのだが、今年はバリエーションをやっている後輩を誘って明神岳東稜からの集中を企画した。悪天のため結局は前穂高岳北尾根のみのプランとなったが、快晴のもと快適な登攀が楽しめた。
<10月12日>(晴れのち雨→雪)
7:00上高地-13:30涸沢
直前までは明神岳東稜に行く気満々だったのだが、次第に悪化する予報を見てあえなく涸沢ベースの計画へ変更。残念だがこの天気ではしょうがない。
今日は涸沢までのアプローチだけなので、わかつり氏と一緒にのんびりと進む。2時間弱しか寝ていない事もあって超スローペース。あまりに眠くて途中でコーヒーを沸かしたりして、涸沢には13時半に到着。紅葉は終わりかけていた。
この時期の涸沢は一年で一番混むので(一昨年来たときは1000張以上)少し身構えていたが、まだ幕営地には余裕があるので安心した。さすがに少しブームは落ち着いてきたといったところか。
ペグ忘れたのでハーケンを打ったり。
昼前から時折雨がぱらついていたのだが、16時くらいからはアラレ状の雪が降り、風も強くなってきた。やはり明神東稜を諦めて正解だった。
夜行の疲れもあり、眠いので宴会もそこそこに20時頃シュラフに入った。
<10月13日>(快晴)
4:45涸沢-5:45 5・6のコル-前穂北尾根登攀-13:00前穂高岳山頂-16:40涸沢
朝起きると時折雲が流れるものの星が見えている。昨日の雪がどれだけ残っているか分からないが、とりあえず5.6のコルまで上がって様子を見ることにする。もしダメなら北穂高岳東稜か、涸沢でボルダリングでも楽しめるし。
5.6のコルまでの踏み跡は若干の雪はあるものの 、アイゼン無しでもなんとかなるレベル。一時間程でコルに上がると、ちょうど日の出を迎える事ができた。
少し風が強いが、この調子なら北尾根の登攀もなんとかなるだろう。ガチャを整えて出発する。
四峰の登りで若干時間を食った(涸沢側をトラバースし、途中で奥又白側へ回り込むポイントが少し見つけ辛い)が、全体的に踏み跡が付いているので迷うような箇所は少ない。
3.4のコルでは先行パーティと会話を交わす。彼らは昨日上高地から頑張って上がり、コルで幕営したらしい。
さて、ここまではロープ無しで行動してきたが、コルから見上げる三峰は流石に立っている。コルから10mほど上がったビレイ点でロープを結ぶ。ここからが核心の始まりだ。
全体的に易しいがルートが屈曲する所が多いので、ぼくたちはかなり短くピッチを切って行った。以下簡単に。(グレードは適当です)
1P:凹角の下を左に回りこんで階段上の岩場へ。回りこむ部分が少し緊張するが容易。(15m、Ⅲ)
2P:リッジ伝いに登り、チムニー直下で切る。(20m、Ⅲ)
3P:チムニーを潜ってから右上。ジェードル下でビレイ(15m、Ⅱ)
4P:ジェードルを登る。大岩にスリングを掛けてビレイ(25m、Ⅲ)
5P:涸沢側に巻きながら1P 。容易。(20m、Ⅱ)
6P:直登は悪そう。巻き気味にロープを引いて岩角でビレイ(30m、Ⅱ)
7P:リッジ伝いに二峰まで(40m、Ⅱ)
二峰から1・2のコルまで10m懸垂下降をしてロープをしまい、簡単な岩場を登ると本峰だ。
今回は久しぶりにロープを組んだので多めにロープを出したが、慣れていればロープは三峰までで十分、あるいはフリーでも登れるだろう。
前穂高の頂上は大勢の登山者で賑わっていた。まだ先が長いので写真だけ撮ってそそくさと下山を開始する。
ここから涸沢までは約4時間半の行程。下山途中で暗くなりそうなので飛ばし気味で進んだが、久しぶりの3000m級に少々疲労し、持病の頭痛が出た。
下山の途中で奥穂高ピストンをしていた現役パーティにあって一緒に下山。暗くなる前にテン場に戻れたのでおでんと生ビールで乾杯した。
夜は全員で現役のテントに集合して宴会。学生の歩荷のお陰で色々と美味しいものが食べられた・・・。(ありがとうございます)
夜の涸沢の様子。二年ほど前は個人テントが多かったが、今年は4人用くらいのテントが多い印象。まあ、こっちのほうが幕営スペースが多くなるので助かる。
翌日は北穂東稜の予定。21時に就寝した。
<10月14日>(快晴)
4:00起床/二度寝-8:00起床/ボルダリングなどー11:00涸沢-15:00上高地
今日は北穂東稜をやるつもりで4時に起きたが・・・体が少々重い。そしてあまりモチベーションも上がらない。って事で二度寝をかます。(同行した後輩はそれなりに行きたそうだったので悪いことをした。ゴメンネ)
3時間ほど寝るとさすがに暑くなってきて起床。北尾根用にフラットソールを持ってきてたので、近くの岩を触りながら遊ぶ。
このあたり、手頃な岩が多くて暇をつぶすにはもってこい。今度来たら一日中このあたりをウロウロするのも面白いかも。
11時頃には北穂高にピストンへ出かけていた現役生が帰ってくるので、一緒に撤収作業をして下山を開始。
行きは冴えない景色に思えたが晴れるとなかなかのもの。紅葉を愛でながら4時間ほどで大混雑の上高地へ下山した。