小穂口沢南沢左俣~小沢岳南尾根~五番手沢下降~コツナギ沢シバ沢~刃物ヶ崎山~矢木沢川ジロウジ沢下降

山岳会の夏の合宿で奥利根へ行ってきた。
もともとは県境を跨ぐ横断山行を予定していたが予報が微妙なのでサブプランへ変更したところ、台風の進路変更によって更にサブサブプランへ変更…という事になった。
(結果的には殆ど影響は受けなかったけど)
天候に悩まされた山行だったが、結果的には山岳会の合宿らしい雰囲気を味わえたと思う。刃物ヶ崎山へ行けたのも満足度高し。

■11日(晴れ)
7:25小穂口沢出合→9:05ブナ沢出合→10:00北沢/南沢出合→12:55南沢右俣/左俣出合→15:00奥の二俣
奥利根マリンの高柳さんに渡船を頼んでいたところ、直前になって「濃厚接触者になったので送れなくなった」と言われ、合宿にいきなり暗雲が立ち込める…
高柳さんがやぐらのご主人と話を付けてくれたおかげで送ってもらえることになったが、アプローチ敗退もあり得るところだった。
気を取り直して7時半頃に小穂口沢の出合へ。矢木沢ダム貯水率は98%という事でほぼ満水に近く、小穂口沢の中まで船が入れた。前回奥利根に来た際は割沢出合あたりまでだったので、距離にして1km近くは奥に進めたことになる。

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ここからは本沢・南沢の出合近くまでは多少のゴルジュはあるものの河原歩きが主体のアプローチ。2時間弱でブナ沢の出合を通り過ぎ、10時には二俣着。本沢へ行くNJMパーティーとはここで別れ、互いの健闘を祈ってから南沢へ入る。

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南沢のゴルジュは1箇所だけ登れずに右岸を巻いたが基本的には容易。途中の7m滝は右からロープを出し、標高1100m付近まで歩みを進める。この辺には食べ頃の山菜が生えており、上物のウドを4-5本収穫できるなど嬉しいサプライズ。
しかし山菜があるということは雪も多いということであり…早速雪渓が現れた。最初は30mほど潜り、次に現れた雪渓は2-30mほど潜ってから側壁の穴を這い上がる。乗り上がった雪渓は右俣/左俣大滝まで続いており、時間節約にはなった。この辺りは9年前の夏(2013年8月)にも来ているのだが、当時に比べると雪渓はやや少ないように感じる。

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右俣大滝・3 段110m は中段から半分が、目指す左俣大滝60m はすべて雪渓に覆われていた。雪渓から右岸の草付き斜面に乗り上がり、左俣大滝落口に懸垂で降りた。この先の2 段30m 滝を右手から巻き気味に登ると、ゴルジュが深くなりルンゼ状支流が連瀑を懸けて右岸から入る。ここは雪渓が残ると面倒そうな雰囲気だが、幸いなことにブロックは残っていなかった。ゴルジュ最後の左折する7m 滝を左岸から越すと源頭の雰囲気。左岸の草を刈ってテン場とした。

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■12日(曇り時々晴れ)
5:15発→6:55小沢岳南尾根→9:30Co1664mジャンクション→9:50五番手沢源頭→13:10小沢本流→14:20奈良沢川出合→16:00コツナギ沢出合
テン場から先は特段問題となるところも少なく、しばしネマガリダケの藪を漕ぐと小沢岳南尾根に出た。本来なら小穂口本谷や小沢本流が見えるはずだが生憎のガスで視界はゼロ。ドコモ/AU共に電波が入るので会に山行の状況を報告したが、ここで木下さんの訃報を知り愕然とする。

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五番手沢の下降ポイントとして目していたP1664まで藪を漕ぐ。上部は背の低い藪が主体だが、標高を下げるに従って藪が濃くなり難儀した。
遅くまで雪渓が残っていたのか、五番手沢は荒れた渓相。小さいが滝も多く、懸垂を交えながら下降した。標高1100m付近でブリッジを潜り、崩壊したブロックを上から越すとようやく河原になりペースが上がる。

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3時間半ほどで小沢本流に合流すると、四番手沢(=小沢本流)を遡行するパーティーからの書き置きが残してあった。仲間の応援は力になる。
小沢本流には雪渓も残っておらず、ブナに囲まれた穏やかな谷を奈良沢川本流まで下っていく。ダムが満水のためコツナギ沢には直接入れず、柄沢山北東尾根の末端部の沢を使って乗越した。小さい沢だが小滝とナメが美しい。この辺はどこでも泊まれるので、少し進んでから適当な砂地をテン場にした。

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■13日(曇り時々晴れ)
5:10発→6:15シバ沢出合→11:00刃物ヶ崎山→13:00Co1250mナメ滝(懸垂)→13:45ジロウジ沢出合→15:00矢木沢川本流→17:20矢木沢堰堤→17:40矢木沢橋→18:20車デポ
コツナギ沢は河原歩きのみ。1時間ほどでシバ沢出合に着くが、貧弱な出合なので気づかずに通り過ぎてしまった。
入渓してしばらくでスラブ状30m滝、ロープを出して左手を直登する。更に暫く進むと2段の大滝40m が現れ、右手からロープを出して直登する。どちらも難しくはないが、ロープは出した方が良いだろう。この先は傾斜が緩み、ナメも多く美しい雰囲気となる。刃物ヶ崎山へ直接出ようと左俣へ入ったが、ネマガリダケと石楠花の藪漕ぎに悪戦苦闘。時間は30分程度だったが藪漕ぎ5級(個人の主観です)。ただ、ここはどうルートを取っても深い藪と戦うのは間違いない…。

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11時に刃物ヶ崎山の山頂に到着。冬に何度か計画しては流れているだけに、季節は違えど山頂に立てたことが嬉しい。あたりを見れば今回歩いてきた渓や尾根がよく見える。そして眼下には奥利根湖。2日前にボートで入渓したのがずいぶん昔のようだ。

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しばし景色を楽しんでからジロウジ沢への下降を開始。右手の尾根を下降し、ガレマークのある沢へ下降する。特に難所もなく順調に下れるが、標高1200m付近でスラブ状の大滝が現れる。事前情報の通り、ここは50m近い懸垂下降になった。ナメ滝なので落口は判然としないが、直ぐに懸垂を行うと途中でピッチを切ることになるので左岸か右岸のブッシュからある程度高度を下げるのが良いと思う。

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ここからはナメ状の滝や大釜などが現れ、ハモンの山頂から4 時間弱で矢木沢本流に到着。魚止めの滝は適当に巻き下ったら最後で懸垂する羽目になった。踏み跡は不明瞭だが、滝の手前も50mほどゴルジュ状の地形なのである程度巻き下ったほうが良さそう。
所々のナメ滝や釜、美しい水の色を楽しみながら下る。

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植林の杉が見えてくるとすぐに堰堤が見え、林道に上がる。

最後はやぐらまで2時間ほどの林道歩きを覚悟していたが、親切な方に拾って頂いたので労を要せず車まで戻ることができた。

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台風に足を急がされたのは間違いないが、初日に順調なペースで遡行できた事もあって当初見込んでいたより1日早く下山することができた。ただ、奥利根の沢と沢を繋ぐ旅だけにもう少しゆっくりしたかったのが本音。限られた条件の中で良い登山ができたと思うが、次は奥利根の雄大な自然とじっくり向き合いたい。

■メモ

・ロープは2本持っていったが最終日の大滝下降以外では1本しか使用せず。大滝も、途中でピッチを切ることを考えるなら1本でも何とか懸垂下降できるはず。

・カム、アブミは使用せず。ハーケンは薄刃~アングルまで各自4本程度持参。

・小穂口沢の下部、矢木沢川の下部はアブ少々。コツナギ沢、奈良沢では全く見なかった。

・小沢岳南尾根、刃物ヶ崎山では電波が入った。