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飯豊の裏番長 裏川・矢沢・持場沢を遡行する

飯豊の裏番長、裏川・矢沢へ挑んできた。おそらくは1999年、わらじの仲間以来の挑戦だろうか。

雪渓のために矢沢の完登は諦めたが、エスケープに選んだ持場沢が予想以上の快適さで驚き。もしかしたら初遡行?ということで思わぬ収穫も得られた。

<8月23日>(快晴)
8:40 裏川堰堤発
12:00要所口
16:30幕営地(水無沢出合付近)
実川林道に1台デポしてから裏川堰堤に移動。禁漁となったためか、釣り師の踏み跡は不明瞭で分かり難い。

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猛暑を嫌って本流沿いに降りてみたが、要所口までは比較的用意に遡行できた。

要所口から先はゴルジュが発達し、本流沿いの行動は困難。

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山腹の踏み跡に戻るが、炎天下のヤブ漕ぎで熱中症寸前。時々水浴びのために本流へと下降する。その後踏み跡は次第に薄くなり、ついには水無沢手前(C1)で完全消滅。巻きも悪いので50m懸垂で本流に下降して河原で幕営とした。

夜も非常に暑く、パンツ一丁でも寝苦しかった。

 

<8月24日>(晴後雨)
6:00発
6:45オコナイ沢出合
10:40矢沢出合
15:30幕営地(政一の滝手前の川原)
幕営地付近は河原が広がるが、すぐに側壁の立ったゴルジュに突入。水量は概ね膝~腰程度だが、やけに水が汚く(理由は翌日判明する)暗いゴルジュということもあって威圧される。「裏川」の名前に違わぬ陰鬱な空間だ。
1時間でオコナイ沢出合に到着。本流はオコナイ滝、オコナイ沢からも30mほどの大滝が合流する。左壁にロープを1ピッチ伸ばし、右岸の段丘から高巻いた。

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その先も際どいヘツリをこなしながら遡行を続けると、一層側壁が立ち上がりゴルジュの幅は狭まってくる。その先にはありえない高さにありえない大きさのチョックストーンが・・・天狗橋だ!

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過去の大水で運ばれたものなのか、車が乗れそうな大きさの大岩がゴルジュの幅ピッタリに挟まっている。運と確かな技術とメンバーに恵まれなければ目にすることのできない奇観。おそらくこの景色を見たのは過去10人ほどではないだろうか。
矢沢出合の小滝は左から登り、腰までの流れをヘツって行くと100mほどで沢が屈曲してヒョングリ状の10m滝が登場。側壁も滑った一枚岩で構成されている。ここは残念ながらお手上げなので出合付近まで戻り、裏川本流と矢沢の中間リッジから高巻いた。

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矢沢に入ってからもゴルジュ地形は続くが、雪と水が磨きこんだ明るく見事な造形美を堪能しながらの遡行となる。残念なのはコーヒー牛乳のごとく水が濁っていること。水の濁りが取れれば5つ星の景観だろう。

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地形図に記された滝は側壁も立ち上がって結構悪い。時間をかければ登れそうだが時間を考えて左岸から高巻き。50mの懸垂で沢床に復帰した。

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降りた河原で雨が降ってきたので本日の行動は打ち切り。雨は夕方には上がり、焚き火の脇で快適な夜を過ごした。

 

<8月25日>(曇り)
5:40発
6:00政一の滝
6:50持場沢出合
12:40櫛ヶ峰
15:10湯ノ島小屋
16:30車デポ地点
幕営地からわずかで25mトイ状の政一の滝に到着。左壁にロープを1ピッチ。政一の滝を過ぎてからもトイ状の沢が続き、河原が広がると持場沢出合に到着。地形図から想像するよりずっと小さく、気を付けないと見過ごしてしまうだろう。
休憩がてら持場沢出合の先に目をやると、すぐ先に不穏なモヤと泥にまみれた白い塊が見えている・・・予想よりかなり早いが雪渓の登場だ。
ここで作戦会議。昨日の水の濁りからも、上部で大規模な雪渓崩壊があったことは想像される。過去の記録でもここからの雪渓処理は一筋縄では行かないようだ。手持ちの行動日は十分だが・・・天候が読めない。記録はないが、持場沢の遡行を決定する。
出合の3mCS滝×2は一見登れそうにないが容易。その先の大きな4mCS滝は左岸をロープを1ピッチで高巻くと懸垂無しで沢に復帰できる。
その後急な河原歩きを続けると、標高1130mで沢が屈曲。トイ状の30m曲り滝(仮称)が登場する。水流左にロープを1ピッチ。この先は快適なナメが広がっている。記録のない沢だったがどうやらアタリのようだ。

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その後もグングンと高度を上げ、1400mの二俣は左、1500mの二俣は右に進む。水流が次第に細くなると、1700m付近から一時間ほどの藪こぎで櫛ヶ峰に到着した。出合から稜線まで6時間弱、かなり順調といえるだろう。
稜線から俯瞰する矢沢本流はドロドロの雪渓に埋まっている・・・。行かなくてよかったかも。今後のネタ探しに矢沢の各支流をじっくりと観察してから下山を開始。
2時間ほどで湯ノ島小屋に到着。アブを適当にあしらいながらデポ地点までゆっくりと下山した。

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【メモ】
・実川流域は鉄砲水の影響で2017年まで禁漁。イワナは遡行中に1匹確認するのみだった。
・ブナ入平までの踏み跡は不明瞭。基本的には沢から高度差50mほどの場所についている。
・実川林道から壷安沢を上がり、尾根からブナ入平へ降りるアプローチも有効かもしれない。
・裏川本流の高巻きは段丘のある右岸沿いが基本。側壁の立ったゴルジュなのでロープが必要。
・泳ぎは少ないが、シビアなヘツリが多く、水量が多ければ高巻きの連続になりそう。ビバークポイントも少ないので天候の見極めが重要。

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裏川と言えば飯豊連峰最難クラス。下流部は陰鬱かつ絶望的なゴルジュ、矢沢に入ってからは明るい渓谷美と、変化に飛んだ好ルートだった。エスケープに選んだ持場沢も当たりかな。

雪渓処理の手間を考えると、矢沢本流の遡行を目指すなら9月が良さそう。冷水との戦いになりそうだが再チャレンジしたい。