8月11-13日 飯豊 玉川大又沢
今年のお盆は足の揃ったパーティーになったので難ルートを計画したが、予報が微妙。ここまで安定した天気が続いていただけに恨めしい。猛暑が続いていたのに何故なんだ・・・
という事で、玉川大又沢へ転進を決定。難易度は低めだが、こちらも本流筋という事で満足度の高い沢登りが出来た。
結果から言えば天候は比較的安定していたので、予定のルートも行けば何とかなったかも知れない。しかしあの状況ではアンダー目の判断をするしかなかったのも事実。また条件が揃った時に再挑戦したい。
<8月11日>曇り後晴れ
6:50飯豊山荘→7:30桧山沢/大又沢→9:55魚止滝→13:10出戸ミズキ沢→14:40入りミズキ沢→15:10 クランク状幕営地
想定以上の帰省ラッシュに巻き込まれ、飯豊山荘に着いたのは朝の6時過ぎ・・・
この日はちょうど山の日ということで、遭対協と警察に見送られて(お菓子のオマケ付き)登山口を出発。気持ちの良いブナ林を30分ほど歩いてから大又沢へ入渓。
入渓からしばらくは容易な渓相で、いくつか淵が現れるが胸まで水に浸かる+ヘツリくらいで簡単に突破できる。
やがて沢には10mほどの顕著な石柱が現れるが、ここからがゴルジュ帯の始まり。横の釜から泳ぎで突破し、その先のゴルジュはヘツリで進むと6m魚止滝。ここは手が付けられないので左岸からロープ1ピッチで高巻き。この高巻きは足場が脆く、意外に悪かった。
更にゴルジュを進むと沢の屈曲点に6m滝。最初は右壁から登れないか取り付いてみるが、ホールドが乏しく苦労しそうなので左の垂壁を空身+ショルダーで強引に突破した。
更に滝の上にもゴルジュは続いており、突破が少し面倒なので右岸段丘から高巻いて懸垂15mで沢に復帰した。ここは増水していなければ水線通しの遡行も可能だろう。
その先の淵と5m滝は左から容易に巻いて処理。悪い高巻きが飯豊の代名詞だが、大又沢は近くまで段丘や灌木が降りておりあまり苦労しない。
ゴルジュ帯の最後には大釜を持った2mの滝。これも巻こうと思えば右から簡単に巻けるが、まだ時間も余裕あるのでロープを出してトライ。大釜を泳いで左から取り付き、細かいスタンスを拾うと落口に抜けることができた。この2m滝のすぐ先で出戸ミズキ沢が合流する。ここまでを本日のノルマと考えていたが、時刻は13時。事前情報によればこの先も幕場はありそうなので先に進む。
出トミズキ沢から先はしばらく平凡な様相で、両岸が切り立ってくると3m 程度の小滝が現れる。ここから始まるゴルジュが”箱淵”だろう。左壁をヘツって通過したが、約1名は淵に5mダイブしてそのままゴルジュを突破した・・・。
箱淵を過ぎると難なく入りミズキ沢出合に到着。ここはあまり良い幕営地が無さそうなのでそのままパス。少し先まで進むと序盤で出てきた10m 石柱にそっくりの7m 石柱が現れる。ここは石柱左側のスラブを登って突破した。
ここから沢は次第に開けてくるのでテン場探し。標高800m付近に、山抜けの跡で平らになった場所があったので今夜の宿とした。睡眠不足から、ツェルトに入ったら一瞬で就寝。
<8月12日>晴れ
5:00発→5:40大岩沢→6:45本社ノ沢→7:30 1230m→9:30 1480m二俣→11:30主稜線→12:00本山小屋
テン場から歩いて1分で泳ぎ・・・寝起きの体が一瞬で目覚める。淵から上がって小滝を一つ登ると5m滝。これを右から小さく巻いて遡行を続けると、テン場から約40分で大岩沢の出合。ここから本社ノ沢までは巨岩が続くものの、滝やゴルジュもなく順調に遡行できる。
本社ノ沢からは5m級の滝や淵が続くが、高巻きやヘツリで処理できるレベル。その後にはナメ床も現れて癒し系の様相になるが、今度は両岸が立ってくる。これはなにか出てくるか・・・と身構えたが、実際はただのゴロジュで問題なく通過できた。
テン場候補地と目していた1230m地点に着いたのは7時半。過去の記録を参考にしてもここから稜線までは7時間くらい?という事で一気に本山小屋を目指すことに。
休んでから最初に現れる8m滝は左壁から登る。ここは落口が少々いやらしかった。次の釜を持った2m滝は右から滑りやすい岩を登り、ハーケンを打って振り子の要領で突破。大滝は少なく、やや渋めの5mクラスが続くのがこの沢の特徴かもしれない。
小滝や淵を進んでいくと今度は10mCS 滝。直登は不可能で左岸の小尾根から高巻いた。下降は良い場所が見つからなかったが、1ポイントだけ灌木が繋がっている場所があったので懸垂無しで沢に復帰できた。
御沢の手前からは両岸が立ってきて、2m滝からゴルジュ帯となる。ここは左壁から上り、そのまま小さく巻いた。
ここまで来ればだいぶ稜線も近づいてくるが、そろそろと思ったタイミングで雪渓が現れた。過去の記録を見ても雪渓次第では少し時間がかかりそうだ。
最初に出てくる崩壊した雪渓は右脇を通り、2つ目の雪渓はバイルを打ち込んで這い上がる。これは比較的安定しているので上を歩いた。夏の日差しと、雪渓の照り返しですこし消耗する。
2-300mほど雪渓を歩いてから降りると、ゴーロ帯のすぐ上に崩壊した雪渓が見える。薄いし厄介かな・・・と思ったが、これは支沢と側壁に残っているのみで特に問題なし。地形的に、中途半端な形で残っていると苦労する場所だったので助かった。崩壊した雪渓のすぐ先の7m滝は左から登れた。
この先は次第に沢も広くなって源頭らしさも出てくるが、更に一つ雪渓が登場。これは非常に薄いが雪渓と側壁の縁を歩いて処理できた。これで雪渓はすべて終了。状況次第では時間を食うと覚悟していたが、条件に恵まれてほとんど苦労しなかった。
この先は源頭の様相となり、水流脇の木いちごを摘みながら沢型を詰める。1840mの二俣を左に入ると藪こぎ無しで稜線に上がれた。稜線からは大日岳や前川源流部、更には会津の平野が一望できる。
順調な遡行を喜んでから装備を解除して、宿泊予定地の本山小屋へ。ここで無線を使うと山岳会の別パーティーとも交信できた。夜は各パーティーと合流し、お互いの苦労を労って交流を楽しんだ。
<8月13日>晴れ
5:40発→6:00飯豊本山→8:30休場ノ峰→10:00桧山沢/大又沢→10:50飯豊山荘
この日はダイグラ尾根を下るだけ。アップダウンの多い尾根で前半はかなり消耗する。この尾根を登ってくる人もいたが、相当しんどいだろう。
11時、飯豊山荘に下山。別パーティーの車を回収を手伝ってから風呂で汗を流し、東京に着いたのは22時。行きも帰りもドライブが大変な山行だった。