奥利根沢合宿(凹角ルンゼ・一ノ沢右俣~ブナ沢~小穂口沢左俣右沢~十字峡)
山岳会の沢合宿、今年のテーマは「奥利根」。
合計6パーティーが入山したが、天候にも恵まれて全てのパーティーが予定のルートを消化出来た。
自分のパーティーはマイナー路線×3連発。定番のルートも気になるのだが、自分が山に求めているのは探検チックな事なので、その意味では大いに満足だった。
ちなみに今回参考にしたのは以下のトポ。
http://www.kt.rim.or.jp/~hakusan/SAMPLE/okutone.html
古い記録が多いですが、地域研究の段階から非常に役立ちました。
簡単だけど、以下に記録を。
<記録>
【8月10日】(晴れ)
8:30 バックウオーター-9:20小穂口沢出合-9:40水長沢出合(C1)-11:00凹角ルンゼ-13:00幕営地
小穂口沢左俣左沢へ向かうパーティーと同船してバックウォーターまで。予想よりも水量は多いのか、割沢出合まで船で入れた。
小穂口沢出合いで左俣左沢Pと分かれて、水長沢出合いに幕営道具をデポ。凹角ルンゼまでは20分ほどの距離。
凹角ルンゼは見上げると脆そうな岩+傾斜がきつく見える。トポの記録は30年前、それ以外の記録なし。
身構えて取り付くと・・・簡単だ。核心と書かれていた最初の30mも、場所によっては足だけで登れる。
次のピッチは更に簡単。なんだか拍子抜けしてしまったので、ここで登攀を打ち切って下降する。脇にある灌木帯を使えばロープ不要。
幕営地付近で竿を出すがまったくアタリ無し。入山祝いにメンバーの一人が担いできてくれたベーコンを食べて21時就寝。
【8月11日】(晴れ)
6:20 C1出発-9:30二俣-12:30小穂口山-14:00小穂口山北の池(ブナ沢下降)-16:00ブナ沢出合-17:00奥ブナ沢手前で幕営(C2)
ブナ沢右俣は出合に綺麗な連瀑をかけている。快適な登攀を予期して入渓するが・・・ヌメヌメ。登れない滝が多く木登りでの高巻きが連続する。トポによると「初心者向き」とのことだが、40年前の記録ではあまり当てにならないようだ。
稜線から1時間ほど藪の濃い稜線を歩くと南ノ池、北ノ池の池塘に到着。下降に使ったブナ沢は滝らしい滝もほぼなく快適に下ることができた。
奥ブナ沢の少し手前の河原で幕営。
【8月12日】(晴れ)
6:30 C2出発-6:50二俣-12:00奥の二俣-13:30 45m大滝-17:00ブドウ平(C3)
20分ほど行くと小穂口沢右俣・左俣の二俣。しばらくゴルジュ帯が続くが、泳ぎを強要されるような場所もなく、
朝から水に浸かるのも気乗りしないのでへつって処理していく。
標高1000mほどの所で最初のスノーブリッジが登場。1100m地点からは沢を雪渓が埋め尽くしている。上を歩いていけるので、かなり時間短縮になった。
左俣右沢出合の110m大滝は半分ほどが雪渓の下。あわよくば登ろうかと思っていたがこれでは取り付けない。左沢に入り、ルンゼ状から右沢に降り立った。この巻きはかなり悪く、2時間ほど時間を食ってしまった。途中で落石もあり、かなり危ない場面も。
降り立った右沢は雪渓で埋め尽くされている。台地上の所に土木工事を行って無理やりタープを張った。
【8月13日】(晴れ)
6:30 C2出発-11:45稜線-12:00下津川山-15:30小穂口の頭-中尾ツルネ下降-19:30十字峡下山
テン場からしばらく進むと割れた雪渓から滝がのぞいている。これがトポにある30m滝だろう。左から巻き、懸垂で沢に降り立つ。この先も雪渓が続き、傾斜も徐々に増してくるのでコンテで行動開始。
標高1700m付近で雪渓は切れ、ここから稜線まではもろい草付のスラブが続く。中間~上部は灌木も生えているが、下部は少し緊張した。
稜線に出たところでちょうど無線交信の時間。どのパーティーも核心部は抜けたもよう。下山時間が近そうなパーティーと打ち上げの約束をして、登山道まで3時間の藪漕ぎを開始する。
笹薮の続く稜線のため大して時間はかからないかと思っていたが、この日は強烈な暑さ。遮るものも無い稜線での行動は熱中症寸前で、予想よりも遅れて15:30に小穂口の頭に到着。ここからはひたすら下るだけだ。
中尾ツルネの登山道をおり、アブの歓迎を受けながら19時40分に十字峡に到着。釣り客の方のご厚意で五十沢温泉まで送っていただき、合宿成功を祝って祝杯をあげた。
<メモ>
・中尾ツルネは蜂の被害が多いが、この時期はまだ活発な動きは見せていない。
・中尾ツルネではau,docomo共に電波入らず。
・十字峡の小屋は2年前の水害から営業休止中で電話も使えない。
<ヒヤリハット>
小穂口沢左俣左沢~右沢のルンゼを登っている最中、40㎝程度の落石がメンバーのザック~肩にかけて当たり、2mほど飛ばされた。
ザックに当たって衝撃が殺されたおかげで大きな怪我には至らなかったが、直撃していれば非常に危険な状況。
上を登っていたメンバーによると、少し脇の石が動くような音が聞こえた(直接誘発はしていない)が、登攀ラインからは外れていたとのこと。
不測の要因で落石のフォールラインが変わることを強く実感した。